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つみたて投資について - 10分で分かる動画

つみたて投資について
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今こそ、家計や確定拠出年金・NISAなどの、総点検をする時です!
 もしかして、「収入が高くないとお金なんか貯まらない」と思っていませんか? 確かに、収入は少ないより多い方がいいでしょう。でも、収入が高ければ貯蓄ができるのかといえば、それは違います。年収300万円で貯蓄1000万円の人もいますし、年収1000万円なのに貯蓄ゼロの人もいます。

給料がなかなか増えないこの時代、お金を貯めるために大切なのは「支出の管理」です。そこで今回は、手取り収入別の理想の支出割合を紹介します。

◆お金を貯めている人の支出に学ぼう

 お金を貯めている人は、収入ではなく支出に注目しています。「何にお金を使っているか」を分析・把握して、支出の費目ごとに予算化しているのです。設定した予算内でお金を管理できていれば、赤字家計になることはありません。

手取り25万円、30万円、35万円、40万円の理想の支出割合は、以下のとおりです。

●手取り25万円、30万円、35万円、40万円の理想の支出割合


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目安の割合は、家族の人数や住む地域、生活スタイルなどによって変わります。この目安から少しずれたからダメ、というわけではありません。そこは実情に合わせて加減していただいて結構です。

ただ、大切なのは、毎月15〜20%の貯蓄を確保することです。毎月の貯蓄ができない状態では、当然ながらお金は貯まっていきません。ですので、ひとつひとつの費目を見直して、いくらまでに抑えるべきなのか、予算を立てていくことが必要です。

◆節約の「優先順位」を意識しよう

 自分の支出と理想の支出を見比べて、明らかに多い支出があるならば、それを削ればいいでしょう。しかし、一見してそれほど飛び抜けた支出がないとしたら、何から削りますか?

食費、交際費、被服費、教育費を選択した方は要注意。これらは変動費といって、毎月金額が変わる費用です。もちろん、やりくりができないわけではないのですが、節約の効果が出にくく、ストレスの貯まる支出といえます。また教育費など、自己投資をなくしてしまうと、スキルアップもできなくなってしまいます。

それに対して、家賃、保険料、通信・光熱費を選んだ方は、正解です。これらは固定費といって、毎月決まった金額がかかる費用です。固定費を見直せば、その効果はずっと続くことになります。つまり、確実に毎月の貯蓄額を増やせるわけです。節約の優先順位は固定費→変動費となります。

家賃は、昔は月収の3分の1と言われていました。確かに、給料が右肩上がりの時代はそれでよかったのかもしれませんが、今はそれだと先々苦しくなってしまいます。できれば20%、都心部でも25%程度に抑えたいところです。たとえば、今より1万円安いところに引っ越して、引っ越し費用が20万円かかったとしても、2年足らずで引っ越し費用を回収し、以後は毎月1万円ずつ固定費を抑えることができます。

保険は、たくさん入れば万が一の保障も手厚くなりますが、保険料の負担が大きくなります。加入する際には、自分にとって必要な保障を考え、不足する分を備えることが大切です。たとえば、独身で扶養する家族がいないのに死亡保険に入ったり、意味もわからずにさまざまな保障のある保険に入ったりしていませんか。そうしたところにメスを入れ、見直してみましょう。

そして通信費は格安SIM、光熱費は電力自由化・ガス自由化の事業者という具合に、契約先を変えるだけで節約になることがあります。これもケースバイケースなのですが、ご自身の契約を見直し、比較して考えてください。

◆先取り貯蓄で強制的に貯める仕組みを作ろう

 貯蓄をするうえで大切なことは、「先取り貯蓄」をしっかり行うこと。先取り貯蓄とは、支出したあとに余ったお金を貯蓄に回すのではなく、給料から先に貯蓄分を取り分ける方法です。こうすれば、あとは残ったお金で生活するだけで、貯蓄は確実に積み上がっていきます。

支出を見直すことで、毎月貯蓄できる金額が見えてきたことでしょう。給料が振り込まれたら、その金額を別の口座に取り分けましょう。このとき、「財形貯蓄」や「積立定期預金」など、自動で積立できる制度が利用できるならぜひ活用してください。指定した額を給与や口座から自動的に引いて積立をしてくれるので手間が省けますし、「今月はちょっと貯蓄額を減らそうかな」といった甘い気持ちを排して、強制的に貯めることができます。まずはこの方法で、6カ月から1年分の生活費は確保したいところです。これだけあれば、不測の事態にも対応できるからです。

6カ月から1年分の生活費が貯まったら、貯蓄の一部をすべて預貯金に預けるのではなく、一部を投資信託や株などの投資商品に預けて積極的に増やしていくことを考えましょう。

仮に毎月6万円貯蓄できるとして、その半分の3万円を毎月投資信託で30年間積み立て、その間3%の利回りで運用することができたら、元本の1080万円が約1750万円に増える計算です。もちろん、元本割れの可能性もありますが、運用がうまくいけば、預貯金よりもずっと効率よくお金を増やすことができます。

◆まとめ

 お金が貯まらない原因は、実は収入ではなく、支出にあります。これは言い換えれば、この時代にあっても自分次第でお金は貯められるということです。支出のチェック、見直し、そして先取り貯蓄。貯まる仕組みをきちんと作って、お金を貯めていきましょう。


Taiki Yorifuji
頼藤太希
(株)Money&You 代表取締役
マネーコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのFIRE』(宝島社)、『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

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 毎月1万円ずつ貯蓄すれば、1年で12万円貯まります。ただ、お金を預けているだけでは金利がほとんど付かず、増えていきません。しかし、もし積立投資で運用することができたら、預金以上にお金を増やすことができるかもしれません。今回は、毎月1万円の積立投資でお金がどのくらい増えるのか、確認してみましょう。

◆積立投資は少額でもやがて大きく増やせる投資

 積立投資は、金融商品を「毎月」「毎日」など一定のタイミングで一定額ずつコツコツ購入する投資の方法です。積立投資では、たとえ1回の投資金額は少額でも、10年、20年...と長期間続けるほどにお金が貯まり、やがて大きなお金になっていきます。

また、値動きのある金融商品を、値動きにかかわらず一定額ずつ購入することで、商品の価格が安いときにはたくさん買い、価格が高いときには少しだけ買うようになります。こうすることで、平均購入価格が自然と下がっていく効果(ドルコスト平均法)が得られます。

金融機関では、一度積立投資の手続きをしておけば、あとは自動的に買い付けが進みます。投資のタイミングを見計らったり、日々の値動きを過度に気にしたりする必要もありません。積立投資は、日ごろ忙しい方にもぴったりの投資方法なのです。

◆毎月1万円の積立投資を20年続けると?

 では、毎月1万円ずつコツコツと積立投資をすると、お金はいくらに増えるのでしょうか。毎月1万円ずつ20年間積み立てると、20年間の元本は240万円です。この元本で毎月金融商品を購入し、年利1%・3%・5%で運用できた場合の資産の合計額(元本+運用益、以下すべて税引前)は次のようになります。

●毎月1万円を20年間積立投資すると?


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(株)Money&You作成


元本の240万円が、年利1%の場合は266万円、年利3%の場合は328万円、そして年利5%の場合は411万円に増えることがわかります。年利1%なら24万円、年利3%なら88万円、年利5%なら171万円の利益です。

もっとも、投資は元本保証がありませんし、必ず毎年同じだけ利益が出せるとは限りません。しかし、金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 によると、資産や地域を分散した積立投資を20年間続けることでの運用成果は年率2%〜8%に収まっています。過去のデータ上は、長期間の積立投資がお金を堅実に増やすのに適しているといえます。

なお、投資の利益には、20.315%の税金がかかります。たとえば上の例のとおりに年利3%で運用できても、利益の88万円から約17.8万円が引かれてしまいます。これをゼロにできる制度が「つみたてNISA」です。

つみたてNISAは、年間40万円までの投資の利益を最長20年にわたって非課税にできる制度です。つみたてNISAでは金融庁の定める基準を満たす投資信託にコツコツと積立投資をして、お金を堅実に増やしていきます。もしこの例でつみたてNISAを利用して投資していたら、約17.8万円の税金が引かれず、88万円をそのまま手にすることができます。

◆毎月1万円の積立投資を30年続けると?

 積立投資は、投資期間が長くなるほどお金を増やしやすくなります。今度は、毎月1万円の積立投資を30年続けたとしましょう。年利1%・3%・5%で運用できた場合の資産の合計額は次のとおりです。

●毎月1万円を30年間積立投資すると?


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(株)Money&You作成


元本の360万円が、年利1%の場合は420万円、年利3%の場合は583万円、年利5%の場合は832万円に増えています。20年投資よりも元本が120万円増えているのはもちろんですが、10年長く投資したことで、年利1・3・5%の運用結果の伸びも20年投資より大きくなっています。

老後の資金を用意するためならば、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を利用するのがおすすめです。iDeCoは、自分で出した掛金を自分で運用して、その成果を60歳以降に受け取る制度。つみたてNISAと同じく運用益が非課税にできるだけでなく、自分で出した掛金が全額所得控除できるため、毎年の所得税や住民税を安くできます。そのうえ、老後に資産を受け取るときにも税金の負担を減らせます。

もしこの例でiDeCoに30歳から60歳までの30年間にわたって毎月1万円ずつ30年間積立をして、年利3%で運用できたとすると、元本と運用益の合計は583万円。約223万円増える計算です。加えて、掛金が全額所得控除できるので、所得税率5%・住民税率10%の人の場合、1年間の税金は12万円×(5%+10%)=1万8000円安くなります。これが30年間続けば節税額の合計は54万円。自分の老後資金を貯めて増やしながら節税できるなんて、お得ですよね。

◆少額でも投資を始めよう

 このところ物価が上昇し、家計が一段と厳しくなっています。こんな時代に家計を守っていくには、お金を少しでも増えるところに置き、増やしていくことが欠かせません。今回ご紹介したとおり、毎月1万円ずつの積立でも、長期間続けることで利益をしっかり出すことができるでしょう。

投資を長期間続けるためには、早く始めることが大切。早く始めるほど、結果として長く続けることにつながります。ですので、少額でもいいので投資をスタートさせましょう。


Taiki Yorifuji
頼藤太希
(株)Money&You 代表取締役
マネーコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのFIRE』(宝島社)、『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

Twitter:https://twitter.com/yorifujitaiki

(株) Money&YouのHP:https://moneyandyou.jp/

FP Cafe:https://fpcafe.jp/

Mocha:https://fpcafe.jp/mocha

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迫りくる大介護時代に備える
ご自宅で気軽に、10分で学べるリロ・マネースクール
将来のために一歩踏み出したい人は、まずはこの動画を見てみよう!
今こそ、家計や確定拠出年金・NISAなどの、総点検をする時です!
 「お金を貯めたいのに、なかなか貯められない」そうお悩みの方は多いでしょう。将来のライフイベントや万が一のときに使えるお金がないと、できることが限られてしまいます。ですから、お金を貯めておくことはとても大切です。

お金が確実に貯めるには、「先取り貯蓄」の仕組みを活用することが大切。今回は、誰でもできる先取り貯蓄の方法と、先取り貯蓄でぜひ活用したい金融商品・制度をご紹介します。

◆お金を確実に貯める「先取り貯蓄」

 お金を貯めるために一番大切なことは、「先取り貯蓄」を実践することです。先取り貯蓄とは、収入があったら先に貯蓄分を取り分ける貯蓄の方法です。計算式で表すなら、「収入−貯蓄=支出」です。先取り貯蓄をしていれば、お金は確実に貯まっていきます。

貯蓄ができない人は、収入から先にお金を使い、残ったお金を貯める「後から貯蓄」をしています。こちらは「収入―支出=貯蓄」です。

しかし、この方法では、出費がかさんだ月にはお金が貯められません。人間はどうしても楽なほうに行きがちなもの。「今月は仕方なかった」などと、言い訳したくなる気持ちもわかるのですが、これではお金が貯まらないのは目に見えていますよね。

先取り貯蓄をすれば、そんな言い訳とは無縁になります。先に貯蓄して、残ったお金で生活すれば、仮にその残ったお金を全部使い切ったとしても、確実に貯蓄できます。お金の貯まる人は、みな先取り貯蓄でお金を貯めているのです。

◆先取り貯蓄に役立つ金融商品・制度を活用

 先取り貯蓄するからといって、毎月給料日のたびに銀行のATMに並び、貯蓄分を取り分けて、別の口座に入れるという作業を繰り返していたら、だんだん面倒になってしまうでしょう。ですから、先取り貯蓄は自動的・強制的に進められる仕組みを使って取り組みましょう。

ある銀行口座から他の銀行口座(どちらも自分名義)にお金を移すなら、銀行の自動入金サービスが便利です。金融機関によっては、手数料無料でお金を移動することができます。

また、次のような金融商品や制度も先取り貯蓄に役立ちます。

●財形貯蓄

財形貯蓄は、毎月の給料から天引きでお金を貯めることができる制度です。財形貯蓄には、


①一般財形貯蓄(資金の使い道の制限なし)


②財形年金貯蓄(年金として貯める)


③財形住宅貯蓄(住宅購入・増改築費用として貯める)


の3種類があります。このうち、②財形年金貯蓄と③財形住宅貯蓄は、元利合計550万円までの利子が非課税になるメリットがあります。ただし、会社に財形貯蓄の制度がなければ利用できませんので、まずはお勤めの会社に確認してみましょう

●社内預金

社内預金は、会社が毎月の給与からお金を天引きして預かってくれる制度です。社内預金は、法律によって最低でも金利を年0.5%以上に設定することが定められています。大手銀行の普通預金金利が年0.001%だということを考えるとかなりの高金利。ただし、財形貯蓄同様、社内預金も勤務先に制度がなければ利用することはできません。もしお勤めの会社に社内預金があるならば、ぜひ活用しましょう。

●自動積立定期預金

自動積立定期預金は、指定の日に指定した金額を普通預金口座から引き出して定期預金に預け入れるサービスです。勤め先の会社に財形貯蓄や社内預金の制度がない場合には、給与受け取りの銀行口座から給与振込日の翌日に引き出して貯める設定にすれば、ほぼ給与天引きの状態に。確実にお金を貯めることができます。

◆生活費を確保したら投資も活用しよう

 もしも今、まったく貯蓄がないのであれば、先取り貯蓄を活用してまずは6か月〜1年分の生活費を貯めましょう。長い人生の間には、ケガや病気で働けなくなったり、リストラや倒産で収入が途絶えたりすることもあるかもしれません。こんなとき、お金がまったくなかったら、生活できなくなってしまいます。最低でも6か月分の生活費があれば、そうした事態にも対処できるでしょう。

6か月〜1年分の貯蓄ができたら、つみたてNISAやiDeCoなどの制度を活用してお金を増やすことも考えましょう。

●つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)

つみたてNISAは、年間40万円までの投資で得られた利益を最大20年間にわたって非課税にできる制度。税金がかからない分、より効率よくお金を増やすことが期待できます。つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁の基準を満たすおよそ200本の投資信託のみ。いずれも手数料が安く、中長期でお金を増やせると考えられるものが揃っています。証券会社によっては100円からスタートできますので、投資がはじめてでもスタートしやすいでしょう。

●iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

iDeCoは、毎月一定の掛金を支払って自分で運用を行い、その成果を60歳以降に受け取る制度。将来の「自分年金」を作れるうえ、掛金の拠出時・運用時・給付時の3つのタイミングで税制優遇が受けられます。


・拠出時...全額が所得控除の対象になり、毎年の所得税や住民税が安くできる


・運用時...投資で得られた利益にかかる20.315%の税金が非課税


・給付時...一時金で受け取っても年金で受け取っても税金の負担を減らせる


このように、つみたてNISAよりも節税のメリットが大きいのが特徴です。60歳までは引き出せないのですが、老後資金を強制的に貯めるにはかえって役立ちます。

◆まとめ

 お金を貯めたいと思っている方はたくさんいます。しかし、「思っている」だけではお金は貯まりません。お金をちゃんと貯めるには、先取り貯蓄の仕組みを取り入れることが大切です。お金を貯めたいならば、ぜひ実践してくださいね。

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Takayama Kazue
高山 一恵
Money&You 取締役
CFP(日本FP協会認定)
1級ファイナンシャル・プランニング
技能士(国家資格)
DCプランナー1級
慶應義塾大学文学部卒業。
2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。
全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。
明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。
著書は『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。
 老後の自分年金づくりに役立つ「iDeCo」(イデコ・個人型確定拠出年金)。このところ、より多くの人が利用できるようになったこともあって加入者は増加。2022年1月時点でおよそ230.9万人もの人が加入しています。でも、利用にあたって注意してほしいことも。今回はiDeCoを利用するときに知っておきたい意外な注意点を紹介します。

◆税金を節約しながら老後のお金を準備するiDeCo

 iDeCoは、国民年金や厚生年金といった老後の公的年金の上乗せ分を作る制度です。自分で掛金を出して、運用商品(定期預金・保険・投資信託)を選び、運用します。運用成績がよければ、受け取れる金額も多くなります。

iDeCoの大きなメリットは、掛金の拠出時・運用中・受け取り時の3つの場面で税制優遇が受けられることです。

●iDeCoの3つの税制メリット


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iDeCoの掛金は、全額を所得控除できます。これによって、所得税を計算するときのもととなる課税所得が減るため、所得税を減らせます。そのうえ、翌年の住民税も減らせます。

たとえば、企業年金や企業型確定拠出年金の制度のない会社員の方が毎月の掛金の上限金額(2万3000円)を出した場合、年間の掛金の合計(27万6000円)をその年の給与所得から減らせます。仮に所得税率が10%の人なら、所得税が2万7600円、住民税(一律10%)も2万7600円節税できます。

また、iDeCoの運用益は非課税になります。通常、銀行の定期預金の利息や投資信託で得られた売却益や分配金といった利益には20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoを通して定期預金や投資信託を利用した場合、利益には課税されません。税金がかからない分、それだけ多くのお金を運用に回すことができるので、利息が利息を生む複利効果も期待できます。

さらに、iDeCoは原則60歳から受け取りますが、受け取り時にも「退職所得控除」や「公的年金等控除」といった税制優遇が利用できます。

このようにiDeCoは大きな税制優遇を生かしてお金が増やせるので、ぜひ利用してほしいのですが、一方で注意していただきたいこともあります。

◆iDeCoの注意点1:年末調整・確定申告をする必要がある

 iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になるため、毎年の所得税や住民税を減らすことができます。しかし、iDeCoを利用するだけで自動的に減るわけではありません。これらの所得控除を受けるには、年末調整または確定申告をする必要があります。

iDeCoの掛金の年末調整・確定申告には、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。毎年10月ごろ(10月〜12月に初回の掛金の引き落としがあった場合は翌年1月ごろ)に郵送で届きます。

会社員・公務員の方は年末調整のときに小規模企業共済等掛金払込証明書を提出して手続きします。また、自営業やフリーランスの方や、年末調整をし忘れた会社員・公務員の方は確定申告で手続きを行います。

これらの手続きをしないと、掛金の所得控除がされず、節税ができない...ということになってしまうので、忘れずに手続きをしましょう。

◆iDeCoの注意点2:掛金から手数料が差し引かれる

 iDeCoの掛金の最低金額は月5000円です。上限金額は働き方や企業年金があるかないかなどによって異なりますが、月1万2000円〜6万8000円となっています。しかし、毎月この金額で商品が買い付けられるわけではありません。掛金から手数料が差し引かれるからです。

iDeCoでは、どの金融機関を利用しても、加入時に2829円(税込)の口座開設手数料が必ずかかります。また、運用中も毎月171円(税込)の収納手数料・事務委託手数料が必ずかかります。また、金融機関によってはさらに月数百円程度の運営管理手数料がかかる場合があります(SBI証券・楽天証券・マネックス証券・イオン銀行など、運営管理手数料が無料の金融機関もあります)。

これらの手数料は、毎月の掛金の中から自動的に差し引かれます。

iDeCoに加入して月1万円の掛金を出すと、1か月目は最低でも2829円+171円=3000円の手数料が必ずかかります。ですから、1か月目の資産の買付金額は7000円。運営管理手数料がかかる場合は7000円未満になってしまうこともありえます。

また、2か月目以降も、掛金から171円の手数料が引かれていきますので、資産の買付金額は9829円。運営管理手数料がかかる場合はもう数百円少ない金額になってしまいます。

171円という手数料は大した金額でないと思われるかもしれませんが、年間に直すと2052円、20年なら4万円以上にもなってしまいます。iDeCoの掛金に関わらず171円かかりますので、投資の効率を考えると最低でも月1万円、できればそれ以上の大きな金額でスタートしたいところです。また、運営管理手数料のかからない金融機関を選ぶのもポイントといえるでしょう。

◆iDeCoの注意点3:転職したあとの「自動移換」に要注意

 確定拠出年金には個人型のiDeCoのほかに、企業が出した掛金を運用して年金を作る企業型確定拠出年金(企業型DC)があります。これらの資産は、転職・退職の際に資産を移換して運用を続けることができます。

たとえば企業型DCを利用していた方が転職した場合、転職先に企業型DCがあればその企業型DCに資産を移して運用できますし、企業型DCがない場合はiDeCoに資産を移して運用ができます。また、iDeCoに加入している人が企業型DCのある企業に就職した場合に、企業型DCに移換することも可能です。

移換では、それまで保有してきた商品を売却し、移換先で新たな運用を行います。この手続きは、退職日の翌日(加入者資格喪失日)のある月の翌月から6か月以内に行う必要があります。しかし、この手続きをしないでいると、これまで築いた資産が国民年金基金連合会に自動移換される恐れがあります。

自動移換には、次のようなデメリットがあります。


・自動移換されるときに4348円(税込)の手数料がかかる


・資産はすべて現金の状態で管理され、運用ができない


・毎月、52円(税込)の管理手数料が引かれる


・自動移換中は確定拠出年金の通算加入者等期間とならないため、受給のタイミングが最大65歳まで遅れる可能性がある(60歳から受け取るには、通算加入者等期間が10年以上必要)


・自動移換されたお金を受け取るには、iDeCoや企業型DCへの移換が必要


・自動移換されたお金をiDeCoや企業型DCに移換するときには1100円(税込)の手数料がかかる


自動移換されると、運用ができず、手数料だけ減っていく状態になってしまいます。そうなる前に、必ず移換の手続きを行いましょう。特に、企業型DCからiDeCoへの移換は自分でする必要があるので要注意。

移換手続きをしなくても、新たにiDeCoや企業型DCに加入して本人情報が一致した場合には、新しい口座に資産を移換してくれる場合があります。しかし、確実に移換するためにも、自分で手続きをすることをおすすめします。

iDeCoは将来のお金をお得に用意できる制度。ぜひ活用していただきたいのですが、控除の申請、手数料、移換の手続きなど、勘違いしていると損してしまうこともあります。正しく理解して、必要な手続きをとるようにしましょう。


Takayama Kazue
高山 一恵
CFP(日本FP協会認定)
1級ファイナンシャル・プランニング
技能士(国家資格)
DCプランナー1級
慶應義塾大学文学部卒業。
2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。
その後、代表の頼藤と出会い、想いが一致し、2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力している。
FPとして活動をして以来、一貫して結婚、出産、夫の転勤、親の介護など人生の多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要不可欠だと思い、講演、執筆、個人マネー相談等さまざまなチャネルを通して、「女性」にお金の知識を伝えるべく精力的に活動を展開している。
明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。